2008年06月09日

365) プリントゴッコ販売終了

今回で365回を迎えたということは、「walterのモノローグ」がちょうど1年経過したということ
になります。飲みすぎて、翌日に投稿することも何度かありましたが、長いようで短かかった
1年でした。今後どうしようかなと思いましたが、新たなテーマが見つかるまで、もうしばらく
続けようと思います。でも、もし、さぼってしまうことがあるかも知れませんが、勘弁ください。

先月30日、理想科学工業は家庭用簡易印刷機「プリントゴッコ」の発売を6/30で終了すると発表
しました。当方が、いまだプリントゴッコを使用しているわけでもないのですが、とても気に
なった情報です。20年ほど前のことでしょうか、友人からの年賀状がプリントゴッコで印刷され
たものがあり、そのできばえ、そして何枚もスピーディに印刷できることを知り、羨ましくて
しょうがなかったことが思い浮かびます。当方は、妻と全て手書きで一枚づつ書いており、年末
ぎりぎりまでかかったことがありました。

プリントゴッコは1977年に発売され家庭での年賀状印刷の主役となった時期もありましたが、
パソコン、プリンターの普及により需要が著しく減りました。はがきや、紙、布等に手軽に印刷
できるとして人気を集め、1987年のピーク時には72万台/年販売したこともあり、類計販売台数は
全世界で1,050万台にもなるそうです。ここ数年は年間数万台で推移しているとのことです。
当方の感覚ではとっくに販売中止になったと思っていました。1994年には152億円あった売り上げ
も、現在では9億円ほどで、生産中止による売り上げへの影響は全く無い模様です。消耗品である
ランプやインクなどは販売終了後5年間ぐらいは継続するようです。

世の中の流れと共に、多くの商品が生まれ、多くの商品が消えています。かたくなに一つの商品を
守り続けてきた企業はなくなり、商品の水平展開ができた企業は継続的な企業活動ができています。
今回の理想科学工業は、メインの商品が印刷機でしたので、その派生商品として家庭用簡易印刷機
を開発製造しました。ヒットした商品でしたが、全売り上げの大部分を占めるものでは無かったの
が幸いしています。古い話になりますが、レコードからCDに移ったとき、レコード針屋さんは
業種転換ができませんでした。ビデオテープを作っていた会社はCD-ROMを経てDVD-ROMを製造し
継続しています。写真のフィルムメーカーであったコダック、コニカ、フジはデジタルカメラへの
移行でフジ以外は業務を縮小せざるをえなくなってしまいました。一時は、DPEラボがいたる所に
でき、1時間プリントサービスもありました。DPE機械の大手ノーリツ鋼機は2004年に900億円の売り
上げ、約140億円の営業利益がありましたが、2007年では売り上げ約600億円、営業利益30億円
まで下がってしまいましたが、業種転換がうまく進み、増収、増益となりつつあります。

プリントゴッコが生まれて31年経過したと言うことはすばらしいことと思います。エレクトロニクス
商品ではそれだけ長い発売を継続できるものはありません。いわゆるローテクの勝利だったのでは
ないかと思います。昨日、「いつも一緒だよ、KuroとAndyの日記」で昭和42年製のブルーバードが、
今だ健在で、故障も無く走っていることを書きましたが、エレクトロニクスではない、メカニクスの
明らかな勝利でした。これからも、いろいろな商品が廃版となり、姿を消していくでしょう。しかし
長い目で見た場合、メカニカルな商品程愛着を持て、長く使用できるものはありません。もう一度、
以前に戻ったものづくりも考えても良いのではないでしょうか。

  


Posted by walt at 21:28Comments(0)