2008年12月04日

543) 西友のEDLP(エブリデイ・ロープライス)

大手企業のリストラ、来年の新入社員の内定取り消し、自動車業界の操業短縮など、景気の悪さ
に直結するような話題であふれ出しました。その反面、ユニクロのように益々元気になった会社の
話題もあります。その差は何か?構造的なもの、心理的なものもあると思いますが、売れている
要因が単に安いからと言い切ってよいものでしょうか?

昨日、アメリカの最大流通企業であるウォルマートの傘下にある西友は、従来から進めてきた
「EDLP(エブリデイ・ロープライス)化」を軸とする価格引下げの取組みをさらにパワーアップさせ
たお客様への「マニフェスト」「地域でいちばん安いお店をめざします」宣言をしました。
お客様に常時「地域でいちばん安い」価格でのお買物機会を提供する一環として、12 月4 日から、
「他社チラシ価格照合」制度を全店で導入するそうです。これは、お客様が持参した他社のチラシ
掲載価格が西友の店頭価格より安い場合には、当該チラシの価格に値段を合わせて販売するという
ものです。いわゆる従来から家電量販店が他店価格に合わせたり、他店価格以下で販売してきた
方法をスーパーマーケットで取り入れたというものです。

さらに、西友は、「マニフェスト」「地域でいちばん安いお店をめざします」を着実に履行するため
に、以下を実施していく方針だそうです。

1.EDLP 対象品目の拡大、海外調達の拡充などを通じた継続的な価格引下げ
2.全社的なコスト削減による「値下げ原資」の確保
3.「他社チラシ価格照合」制度の導入

親会社のウォルマート・ストアーズ・インクのグローバル調達網を活用して、加工食品、住居用品、
衣料品など幅広い商品分野での海外調達を拡大し、既に開始している米P&G からの直輸入品を格
安で販売するなど、グローバル・サプライヤーとの直接取引も、品目数を段階的に増加させる計画
です。又、店舗及び本部組織の簡素化、チラシ配布回数の削減、物流プロセスの合理化、商品の
自動補充の拡大などを通じて、売上高に占める経費の削減、プライベート・ブランド商品と生鮮食品に
使用される容器包装の削減に引き続き取り組むそうです。

静岡県中部地区の西友と言うと、清水駅前と藤枝の2店舗のみとなります。そのため、我々には若干
馴染みの薄いスーパーマーケットです。エブリデイ・ロープライスは消費者にとって、この上もないあり
がたいことですが、利益の削減分を自社だけで組織の効率化、経費の削減、グローバルな仕入れで
のコスト削減を達成できるのでしょうか?商品の仕入価格の値引き、資材の仕入価格の値引き、配送
運賃の削減など出入りの業者に依頼しないでしょうか?家電量販店などでは、他店との競争で値引い
た金額をメーカー(卸売り業者)に販売促進費の名目で補填させることが当たりまえでした。それと同じ
ことを数円、数十円単位でやるのでしょうか?仕入れ業者はさらにコスト削減をしなければなりません。
第2のミートホープ事件が発生するかも知れません。もし、西友が100%自社でコスト削減をするので
あれば拍手を送り、応援したいのですが....

価格のみの戦略となると、2005年に出版されたキム氏&モボルニュ氏著書「ブルーオーシャン戦略」
のことが思い浮かびます。書の中で「多くの企業は、『レッド・オーシャン』の中で、いかに競合他社を
押さえて成功を収めるかということばかりに注目しています。しかし、レッド・オーシャンでは各産業の
境界はすでに引かれており、価格競争は 熾烈の度を極め、競争のルールは広く知れわたっていま
す。競争相手が増えるにつれて、利益や成長の 見通しは厳しくなっていくでしょう。」と言っています
が、まさに西友はレッドオーシャンに飛び込むということです。敢えて飛び込むのですから、それなりの
勝算があることでしょう。つまりレッド・オーシャン戦略を否定することです。その意味で、西友が新たに
業界にチャレンジすることですから、今後がどうなるか楽しみです。
貴方は他店の98円のチラシを持って、100円の西友に2円値引きを依頼しますか?
  


Posted by walt at 20:47Comments(0)