2008年04月22日

317) 「ケシポン」プラスの宛名消し

以前に比較するとDMが届く件数が減ったように思いますが、それでも毎日と言うくらい何らかの
DMが届きますね。DMに印刷してある住所は貴方はどのように処分していますか?家庭用シュレッ
ダーにかけますか?当方はいちいち宛名のところを破って捨てています。しかし、はがきのサイズ
で折りたたまれている表面がすべすべしているものが厄介です。手では破れないのです。その為
わざわざはさみを用意しなければなりません。

世の中って便利ですよね。そのような不満を持っている人向けに文具・オフィス備品製造大手のプ
ラスが昨年12月にユニークな商品を出しました。その名は「ケシポン」と言いますが、消しゴムで
はありません。ダイレクトメールなどを処分するとき、住所・氏名などの個人情報部分を捺印の
要領で塗り潰すスタンプです。日経BPネットにその開発の模様がプラス ステーショナリー、マーケ
ティング本部の米津雄介氏のコメントと共に掲載されていました。

上からポンと押す。すると特殊パターンの印字がついて宛名が消える。だからケシポン。「直球」な
ネーミングです。そのユニークさ・手軽さが受けて、当初の年間販売目標数60万個を優に超えそうな
勢いで売れているようです。価格は997円(税込み)概観が赤と、青の2種類。専用インクが525円
だそうです。捺印できないものとしてはアート紙、コート紙、トレーシングペーパー、硫酸紙等の
加紙及び和紙、目の粗い紙、滲み易い紙、プラスチックシート等 紙以外のものだそうです。

プラスの米津氏は家庭用シュレッダーの使用状況を調べてみたところ、思いのほか使用頻度が低い
ことが分かったようです。シュレッダーは手軽に処理できる半面、意外に場所を取り、裁断時の音が
うるさい、価格が高いなどのデメリットが少なく無かったようです。最初の試作品は、社名にちなんで
「+」の記号がランダムに並んでいる、ごく単純なパターンだった用ですが、明朝体の細い文字なら、
これでも、おおむね問題なく塗り潰せる。しかし実際のダイレクトメールは肉太のゴシック体で宛名を
印刷しているものが多く、{+」だと消し切れなかったそうです。じゃあ黒の面積を増やせばいいだろう、
ということで黒一色のベタ塗りのパターンを試してみたところ、「まったく駄目」だったとの事。
最近のDMの多くは、宛名をレーザープリンターで印刷している為、レーザーに用いるトナーは樹脂を
含んでいて、これがスタンプのインクを弾いてしまったそうです。最終的には「文字は、文字で隠せば
いいじゃないか」というアイディアが社内から出て来ました。葉を隠すには森の中、という「木の葉隠れ
の術」を使用したそうです。ものは試しとアルファベットでパターンをつくって実験してみたところ、
これが想像以上に上手くいき、試行錯誤の結果現行のパターンとなったようです。

パターンの開発で試行錯誤している過程で「印面のパターンと、文字が消える・消えないについては、
一定の法則がある」ということに気がついたそうです。そこで外部のデザイン関係の研究所にも協力を
依頼して、文字のパターンと「消し」の効果との相関関係を調べてもらい、印面にどのアルファベットを
選択するか、どのようなデザインで配置するかによって、効果には大きな違いが出ることが、学術的に
も証明できたそうです。そればかりか、文字を消すのに最適なアルファベットの選択・配置を割り出す
計算式(アルゴリズム)まで導き出せたとの事、驚きです。このパターンも企業秘密になっているよう
ですので多分何らかの特許を取得しているでしょう。

それにしても、商品であふれている世の中であるのに、次々と新しいものが生まれるということは商材
は無限にあるということでしょう。頭の体操をかねて当方も益々アイディアを考えたくなりました。

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Posted by walt at 21:48│Comments(0)
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