2008年04月17日

312) 事業撤退花盛り

4月10日、トヨタ自動車は富士重工業への出資比率を8.7%から16.5%に拡大し、業務提携を
増やすと発表しました。トヨタと同グループのダイハツ工業の社長も参加したこの記者会見で、
富士重は軽自動車の開発・生産から段階的に撤退することを表明しました。現在軽自動車は
ダイハツ、スズキ、ホンダ、日産、三菱、富士重工、マツダの7社があります。そのうち日産は
OEM供給されていたかと思います。今後は6社体制になるということです。

富士重工の2007年の国内販売台数は22万5818台で、そのうち軽自動車は62%(14万990台)
を占めるそうです。昨年の軽自動車の新車販売台数は約192万台とのことでしたのでシェアは
約7.3%ということになります。富士重工は今後、ダイハツからOEM 供給を受けることになるそう
です。昨年スズキは20年ほどシェアNo.1をキープしてきましたが、僅差でダイハツにその坐を
渡しました。今回のダイハツの富士重工へのOEMによりその差は大きく広がることでしょう。
富士重工の軽自動車というと「スバル360」が思い出されます。今年は「スバル360」の発売から
50周年に当たる記念の年となるわけですがその年にあえて撤退を決めました。その理由は
「国内の販売は最盛期の35万台から22万台程度まで減少し、その一方で収益の大半は海外で
稼ぎ出しており、グローバルで生き残る道を模索しなければならない。この状況下で、国内のこと
だけを考えて、軽自動車から普通車まですべてを開発・生産するのは難しい。」と森郁夫社長は
言っていました。富士重工が軽自動車を製造しなくなると、普通車だけでは約8万台の生産と言う
ことになります。それでは、全く工場が機能しないはずですが、そういえば昨年トヨタが新型の小型
スポーツ車を富士重工と共同開発し、富士重工が製造を受け持つと発表されました。果たしてどれ
だけ上乗せ生産ができるかわかりませんが、緻密な計算の結果の選択だと思われます。

尚、スズキは富士重工と株式を持ち合っているようです。スズキは1.8%富士重の株式を持ち、
一方の富士重も約1%のスズキ株を保持しています。両社は米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の
時代には共同購買なども検討し、さらにスズキからスバルへ車両の供給も話し合われていたよう
です。しかし、今後は株を持ち合う必要もなくなることでしょう。軽自動車はダイハツとスズキの2強
です。それに続くホンダそして、日産、三菱、マツダ。6社が多いか少ないかは分かりませんが益々
消費者の選択の余地が無くなる事は事実です。

事業撤退はいろいろな業界で進んでいます。携帯電話も三洋が京セラに事業を売却しました。三菱
も撤退を表明しました。世界でもモトローラが事業売却を企んでいるが買い手がいないと報道されて
います。企業からすれば「選択と集中」をしていると言うのでしょうが、消費者からするとアイテムが
減ることにより選択が減ります。又、画一化されてきます。コンビに行って気がついたことはありませ
んか?どのコンビニチェーンもPOSシステムにより売れ筋商品しか並べません。その結果、どのお店
に行っても目にするのは同じ商品です。全く消費者の選択の余地がなくなっていることになります。
欲しい商品があったとしても探すことが大変です。消費動向は多様化していても、選択の余地が無い
のであれば多様化とはいえません。いずれ日本人全てが同じものを着て、同じものを食べる時代が
来るかも知れませんね。
そんな時代、貴方は受け入れますか?

昨日ビクターがテレビ事業から撤退する発表もありましたね。





Posted by walt at 21:41│Comments(0)
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