2010年04月28日
993) 堺屋太一氏の「未来小説2020年」
昨日の読売新聞朝刊1面に作家でもあり、元経済企画庁長官であった堺屋太一氏の「未来小説2020年」が掲載されていました。この記事は読売新聞社が財政悪化や少子高齢化の進行で、日本経済が地盤沈下していく懸念が広がっていくとして、元経済企画庁長官でもあった作家の堺屋太一氏に2020年の日本の姿を予想する形で寄稿してもらった「未来小説」のフィクションです。内容はデータを基に書かれており、興味深く読みましたので、紹介したいと思います。大見出しは「若者食を求めて中国へ」、小見出しとしては「国は借金漬け、円暴落の一途」となっていました。
話は孫の大学生である平太が就職活動に成功して中国の会社に就職する家族の会話から始まっています。平太は中国の工場に就職することとなり月給が15,000元もらえることに対して、73歳の爺さんの和夫は「15,000元はたったの15万円ではないか」と言います。和夫の意識では人民元が10円と思っていたのだが、実は1元が70円となっており、15,000元は日本円で100万円となっていることに気付かなかったのである。30年前から始まった財政赤字は2010年からすさまじく赤字が増え財政支出の半分以上が国債を発行し、借金で賄うのが常態化してしまった。そして、決定的となったのが2017年の総選挙で「改革断行派」と「人間温情派」とに分かれ温情派が政権をとり、公務員の解雇にも、年金や、子育て助成金の削減にも、大幅な増税にも反対の政府となりました。2017年には国家予算が200兆円となり、国債発行額は120兆円、企業の利益も乏しく貿易収支が500億ドル以上の赤字になってしまいました。資金調達のために元建て債を発行、円安インフレ制作をとり、物価をつり上げることで名目GDPを膨れ上がらせ国債比率を下げる手を使い、その結果輸入物価は上がり、ガソリンは原油高、ドル高もあいまって急騰リッター1,000となる。プラグインの小型電気自動車が大流行したがこの分野で日本メーカーは立ち遅れ、日本の自動車メーカーの1社は中国企業の子会社になってしまった。金融取引では日本は上海、シンガポールの1/5、東京での国際取引はできない状態となっている。10年前(2010年まではアメリカに次ぐ世界第2位の大国だった日本の姿はそこにはなかった。
この小説は勿論フィクションではありますが、決して絵空事とは言えません。日本の国際競争力は知らず知らずのうちに低下しています。国民一人当たりのGDPはルクセンブルクに次ぐ世界第2位だったのは遠い昔1993年のことであり、2008年のデータではOECD加盟国30カ国中19位となっています。三菱総合研究所の試算では消費税を10%に引き上げても、規制緩和や、社会保障費の抑制等大胆な制度改革がなければ、国と地方の長期債務残高のGDP比は2020年には250%まで高まるとしています。827兆円もの借金を抱える現在、一世帯当たりに換算すると1,565万円の借金を抱えていることになり、自己破産してもおかしくない現状をどのように打破するのでしょうか?結果、つまるところ国民にそのしわ寄せが来るのは間違いありません。「国民が借金を負担しろ」ということになるかも知れません。
この「未来小説2020年」のような状況にならないためにも、ひかれた道から脱線する必要があるのではないでしょうか?1997年に香港が中国に返還される時、多くの香港人が英国やカナダに移民しました。もしかしたら2020年までに日本人の多くも、日本を捨て、他の外国に移り住むかも知れません。日本が魅力ある国にする為にも皆の知恵を絞りたいものです。
話は孫の大学生である平太が就職活動に成功して中国の会社に就職する家族の会話から始まっています。平太は中国の工場に就職することとなり月給が15,000元もらえることに対して、73歳の爺さんの和夫は「15,000元はたったの15万円ではないか」と言います。和夫の意識では人民元が10円と思っていたのだが、実は1元が70円となっており、15,000元は日本円で100万円となっていることに気付かなかったのである。30年前から始まった財政赤字は2010年からすさまじく赤字が増え財政支出の半分以上が国債を発行し、借金で賄うのが常態化してしまった。そして、決定的となったのが2017年の総選挙で「改革断行派」と「人間温情派」とに分かれ温情派が政権をとり、公務員の解雇にも、年金や、子育て助成金の削減にも、大幅な増税にも反対の政府となりました。2017年には国家予算が200兆円となり、国債発行額は120兆円、企業の利益も乏しく貿易収支が500億ドル以上の赤字になってしまいました。資金調達のために元建て債を発行、円安インフレ制作をとり、物価をつり上げることで名目GDPを膨れ上がらせ国債比率を下げる手を使い、その結果輸入物価は上がり、ガソリンは原油高、ドル高もあいまって急騰リッター1,000となる。プラグインの小型電気自動車が大流行したがこの分野で日本メーカーは立ち遅れ、日本の自動車メーカーの1社は中国企業の子会社になってしまった。金融取引では日本は上海、シンガポールの1/5、東京での国際取引はできない状態となっている。10年前(2010年まではアメリカに次ぐ世界第2位の大国だった日本の姿はそこにはなかった。
この小説は勿論フィクションではありますが、決して絵空事とは言えません。日本の国際競争力は知らず知らずのうちに低下しています。国民一人当たりのGDPはルクセンブルクに次ぐ世界第2位だったのは遠い昔1993年のことであり、2008年のデータではOECD加盟国30カ国中19位となっています。三菱総合研究所の試算では消費税を10%に引き上げても、規制緩和や、社会保障費の抑制等大胆な制度改革がなければ、国と地方の長期債務残高のGDP比は2020年には250%まで高まるとしています。827兆円もの借金を抱える現在、一世帯当たりに換算すると1,565万円の借金を抱えていることになり、自己破産してもおかしくない現状をどのように打破するのでしょうか?結果、つまるところ国民にそのしわ寄せが来るのは間違いありません。「国民が借金を負担しろ」ということになるかも知れません。
この「未来小説2020年」のような状況にならないためにも、ひかれた道から脱線する必要があるのではないでしょうか?1997年に香港が中国に返還される時、多くの香港人が英国やカナダに移民しました。もしかしたら2020年までに日本人の多くも、日本を捨て、他の外国に移り住むかも知れません。日本が魅力ある国にする為にも皆の知恵を絞りたいものです。
Posted by walt at 13:45│Comments(7)
この記事へのコメント
私は、静岡と北京で商売をしています。
両国を比べて感じることは、
「日本人の若者は、将来生きていけるのか?」です。
生きる力がまるで違います。
安心と安全、セイフティネットも結構ですが、
隣国には、貪欲ならなければ、生きていけない国があるのです。
戦後教育が日本をだめにしたと私は思っています。
「教育」の建て直しをやらなければ、
日本は落ちていくだけでしょうね
両国を比べて感じることは、
「日本人の若者は、将来生きていけるのか?」です。
生きる力がまるで違います。
安心と安全、セイフティネットも結構ですが、
隣国には、貪欲ならなければ、生きていけない国があるのです。
戦後教育が日本をだめにしたと私は思っています。
「教育」の建て直しをやらなければ、
日本は落ちていくだけでしょうね
Posted by メンズヘア専門店Moo-bz
at 2010年04月29日 06:55

メンズヘア専門店Moo-bzさん
やはり、中国の若者と比較するとそのように思われるのですね。
10年以上前に仕事で韓国のサムスンに良く行きましたが、その
仕事ぶりを見て「何時か日本は太刀打ち行かなくなる」と思いましたが
10年間で、とても差をつけられ追いつかなくなってしまいました。
次は中国かもしれません。
教育の問題となると沢山言いたい事がありますので、又今度話を
させてください。
やはり、中国の若者と比較するとそのように思われるのですね。
10年以上前に仕事で韓国のサムスンに良く行きましたが、その
仕事ぶりを見て「何時か日本は太刀打ち行かなくなる」と思いましたが
10年間で、とても差をつけられ追いつかなくなってしまいました。
次は中国かもしれません。
教育の問題となると沢山言いたい事がありますので、又今度話を
させてください。
Posted by walt
at 2010年04月30日 23:42

私も「教育」では、山ほど言いたい事があります(笑)
Posted by メンズヘア専門店Moo-bz
at 2010年05月01日 17:13

はじめまして。
上海に住んで13年。
最初の中即生活体験は1984年。
10年後に1元=70円になれば、私はウハウハの2乗です。
まあ、そこまでいくかどうか、でも1元=30円にはなっていそう。
だとしても、私はウハウハです。
しかし、まあ、日本が、もっと、「人間温情派」政治家に傾くようであれば、そうなって行っても仕方ないでしょうね。
せっかく、自由競争を促すために規制をなくして、自己責任もしょうがない、という方向に向かったと思ったのに、スグに逆戻り・・・
やはり、日本人は本質的に競争は嫌いなんでしょうね、
そして、皆が平等ってのが一番、と言う考えなんでしょうね。
84年最初に中国に来た時に感じたのは、
皆さん、貧しいけど、ユッタリ生きてるな、金持ちもいないし、貧乏人もいないし・・いやぁ、こういうほうがイイかも、と思ったものでした。
日本も、そうなればイイのかと、思ったりします。
しかし、その場合、鎖国しないと、「ユッタリ」と言う部分は怪しくなると思っています。
今年、2月に家内(上海女性)と娘を連れて、日本に行き、2週間ほど生活したんですが、家内が上海に帰ってきて、言ったことは、日本も物価が安くなってるようで、日本でも生活できそうね・・・でした。
私も確かに、そう感じましたね。
10年後は、日本のほうが物価が安くなって、暮らしやすくなってきてるかもしれません。
もうスグ来る夏休みも日本で1ヶ月ほど生活しようかなと思っています。
上海に住んで13年。
最初の中即生活体験は1984年。
10年後に1元=70円になれば、私はウハウハの2乗です。
まあ、そこまでいくかどうか、でも1元=30円にはなっていそう。
だとしても、私はウハウハです。
しかし、まあ、日本が、もっと、「人間温情派」政治家に傾くようであれば、そうなって行っても仕方ないでしょうね。
せっかく、自由競争を促すために規制をなくして、自己責任もしょうがない、という方向に向かったと思ったのに、スグに逆戻り・・・
やはり、日本人は本質的に競争は嫌いなんでしょうね、
そして、皆が平等ってのが一番、と言う考えなんでしょうね。
84年最初に中国に来た時に感じたのは、
皆さん、貧しいけど、ユッタリ生きてるな、金持ちもいないし、貧乏人もいないし・・いやぁ、こういうほうがイイかも、と思ったものでした。
日本も、そうなればイイのかと、思ったりします。
しかし、その場合、鎖国しないと、「ユッタリ」と言う部分は怪しくなると思っています。
今年、2月に家内(上海女性)と娘を連れて、日本に行き、2週間ほど生活したんですが、家内が上海に帰ってきて、言ったことは、日本も物価が安くなってるようで、日本でも生活できそうね・・・でした。
私も確かに、そう感じましたね。
10年後は、日本のほうが物価が安くなって、暮らしやすくなってきてるかもしれません。
もうスグ来る夏休みも日本で1ヶ月ほど生活しようかなと思っています。
Posted by 井上@打浦橋@上海 at 2010年05月12日 14:38
井上@打浦橋@上海 さん
上海からのコメントありがとうございます。
当方12年ほど前に仕事で上海に行きましたが、さぞかし変わった
ことでしょうね。当時の空港は虹橋だったと記憶しています。
連日、上海万博の模様が放送されていますが、会場での食事は
日本と変わらない価格ですね。奥様が「日本でも生活できそうね」
と言われたことが、今の上海と日本の状況を物語っていると思います。
その意味でも、堺屋太一氏の言うこともまんざらではなさそうですね。
上海からのコメントありがとうございます。
当方12年ほど前に仕事で上海に行きましたが、さぞかし変わった
ことでしょうね。当時の空港は虹橋だったと記憶しています。
連日、上海万博の模様が放送されていますが、会場での食事は
日本と変わらない価格ですね。奥様が「日本でも生活できそうね」
と言われたことが、今の上海と日本の状況を物語っていると思います。
その意味でも、堺屋太一氏の言うこともまんざらではなさそうですね。
Posted by walt
at 2010年05月14日 14:53

もちろん最終的な結論はブログ主さまの自由であるのは当然なのですが、ここだけはちょっとツッコミを入れさせてください。
>827兆円もの借金を抱える現在、一世帯当たりに換算すると1,565万円の借金を抱えていることになり、自己破産してもおかしくない現状をどのように打破するのでしょうか?
ビジネスロジック的に「誰が」「何を」「どうした」という部分を明確にしないといけないと思います。
827兆円の借金は「国民が」「誰かから」「借りている」わけではありません。したがって、一世帯当たりの借金というのも間違っているということになります。「政府が」「国民から」「銀行預金を経由して」「借りている」というのが正解です。
つまり「国民はお金を貸している」ということです。結論がまるで逆になることについて何か作為をお感じになられないでしょうか?ご一考願います。
>827兆円もの借金を抱える現在、一世帯当たりに換算すると1,565万円の借金を抱えていることになり、自己破産してもおかしくない現状をどのように打破するのでしょうか?
ビジネスロジック的に「誰が」「何を」「どうした」という部分を明確にしないといけないと思います。
827兆円の借金は「国民が」「誰かから」「借りている」わけではありません。したがって、一世帯当たりの借金というのも間違っているということになります。「政府が」「国民から」「銀行預金を経由して」「借りている」というのが正解です。
つまり「国民はお金を貸している」ということです。結論がまるで逆になることについて何か作為をお感じになられないでしょうか?ご一考願います。
Posted by okurus at 2010年05月18日 00:08
okurasuさん
ご指摘いただいた件ですが、その通りですね。国民が自ら借金をしているのではなく、国が国民からお金を借りている表現が正しいですね。ですから借金ではないですね。
当方、作為はなく、ただ、国の現状を一般家庭にたとえるなら、一世帯当たり1,565万円の借金があるということになり、そのお金をどのように返すかが問題となります。返せないから、自己破産しますということにもなりかねません。ということを懸念した次第です。
ご指摘いただいた件ですが、その通りですね。国民が自ら借金をしているのではなく、国が国民からお金を借りている表現が正しいですね。ですから借金ではないですね。
当方、作為はなく、ただ、国の現状を一般家庭にたとえるなら、一世帯当たり1,565万円の借金があるということになり、そのお金をどのように返すかが問題となります。返せないから、自己破産しますということにもなりかねません。ということを懸念した次第です。
Posted by walt
at 2010年05月18日 14:00
