2007年11月19日

166) 「選択と集中」はステークホルダーうけの言葉?

今年度2回目の静岡県立大学の社会人ビジネス講座「21世紀のマネジメント」に参加しています。5回講座で12/22まで土曜日の午後開校されます。前回は「選択と集中」に関して経営情報学部の竹中講師の講座でした。「選択と集中」と言う言葉はここ何年か前から頻繁に聞かれるようになっています。企業の決算時のコメントにも「選択と集中」を進めるという表現をされている会社が多いのではないでしょうか?今回の講座を聞き、自分なりに「選択と集中」をまとめてみたくなりました。

まず、「選択と集中」ですが英語では「Selection and Concentration」というようです。「自社の得意な事業領域を明確にし経営の資源を集中的に投下する戦略」のことであり、1980年代にゼネラルエレクトリック社のCEOであった、ジャック・ウェルチ氏の戦略として有名であるとのこと。ウェルチ氏は企業が行っている事業のうち、ナンバー1ないしナンバー2の事業に注力する一方で、弱小事業は他企業へ売却ないし廃止等のリストラを行うというもので、GEはこの戦略に基づき、事業の再編成に伴う資源の再分配を行うことで、業績を飛躍的に向上させたことが始まりのようです。

講座の中で、本来「選択と集中」は企業戦略そのものであり、どの企業も少なからず行ってきていることであると言うことを聞き、「そういえばその通りである」と納得し、「なぜ、その当たり前のことがクローズアップされたのか?」と不思議に思いました。景気が悪くなれば、不採算部門は縮小しコストを抑えることはあたりまえのことです。又、採算の良い部門に集中してきました。商品でも売れ筋に特化し、売れないものは早期に廃番としてきました。それなのになぜ?....
当方が思うには、このところ企業のコーポレイトガバナンスやCSRが注目され、企業ビジョンや戦略にまで関心が高まって来ています。そのため、その戦略(あってないような戦略が多い企業がたくさんあると思います)に簡単に利用できる言葉として「選択と集中」が使われるのではないか?比較的なじみのある言葉となっているため使い易いのではないかと。

もし、経営者が「選択と集中」を唱えるのであれば「貴方は今まで何をやってきたのですか?」と問いたい。「好況の時は何をするのですか?不況の時は具体的にどのような選択と集中をするのですか?」とも聞いてみたいと思いました。「選択と集中」は戦略であり、中期、長期計画の中で具体的な方策として使用されるのであれば良いのですが、事業結果として悪かった時のエクスキューズとして使用されるのはおかしなことです。でも、多くの経営者は、不採算、赤字になったからその事業を清算、売却するという方法を取り「選択と集中」をしていると言っていると思われます。いわゆる戦略がなく、行き当たりばったりと言うことになるのでしょうか?三洋電機は以前より家電の販売不振が言われてきました。今になって携帯電話事業の売却や、燃料電池の開発事業売却をしています。もしかしたら、建て直しのためにリチウムイオン電池事業も売却するのではという噂もあります。これは、「選択と集中」ではなく苦肉の策ですよね。

「選択と集中」は当たり前のこと。戦略の一部です。今で当たり前のように聞いていた「選択と集中」、これからは違った見方をしたいと思った次第です。
貴方の会社は経営者がまだ「選択と集中」を唱っていますか?





Posted by walt at 21:53│Comments(3)
この記事へのコメント
以前同じような考え方で、
コア・コンピテンス(核となる競争力)ともいわれました。

商店街が持つ真の競争力は何なんだ、
ショッピングセンターになくて商店街にあるものは、
勝てるものはなにか、ということを考えました。

そうするとSWOT分析にもつながります。

捨てることが戦略というのは、
以前ラグビーの宿澤広朗さんのコラムで読んだことがあります。

こうすべきだ、ではなくわれわれはこうプレイするというオリジナリティ、
そして「なにをやらないか」「なにを捨て去るか」のトレードオフ(相殺)も戦略決定のプロセスとして必要だ。

とありました。

しかし昨今の「選択と集中」と国・政府がいうと、
体のいい切り捨てに聞こえてしまうのです。
Posted by クールなお at 2007年11月20日 16:54
クールなおさん

商店街をSWOT分析にかけた結果、どのようなことが判明したので
しょうか?気になります。
何か全体が評論家的になっているようで、二極化、格差、負け犬等の
言葉をみんなが使いすぎた結果、そう思うようになってしまったのでは
ないかとも思ってしまいます。
Posted by walt at 2007年11月20日 22:59
勝ち目はあるのですが、それは経済的なものではありません。
次なる時代の豊かさ、パラダイムの転換をまたなくてはいけません。
Posted by クールなお at 2007年11月20日 23:17
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