2007年10月25日

141) 交渉のテクニック

慶応大学榊教授は社会心理学の立場で説得や交渉について研究してきた結果、日本人は世界の多くの民族の中でも、交渉に関しては「弱気の遺伝子」と呼んでもいいほどの乏しい力しか持っていないと言っています。 外国や支配者などの強者に対して、平均的日本人はおとなしく、声高にものを言わず、後ずさりする傾向にあるようです。平均的日本人は性格が穏やかで喧嘩も交渉もできない。ところが諸外国を見ていると、欧米であれ、中東であれ、交渉に臨む場面では、「勝ってやろう」という気迫が顔つきや声だけではなく、全身にみなぎっているのが感じられるとのこと。身近なところでは買い物で値切りの交渉をするところから、大きくは国家間の交渉に至るまで、日本人のおとなしさ、淡白さに比べ、諸外国の人々は「何が何でも勝つ」という発想で、交渉に臨む姿勢はしたたかでもあります。

「こうした差はなぜ生じたのか。人類がアフリカで誕生してから、中東、南欧、中欧へと人々は移動し、さらに東のアジア大陸へ移動し、中国大陸の東端や朝鮮半島を経て、日本列島へとたどり着いたのがわれわれの祖先です。強い者たちはその地に住み着いて生活しますが、弱い者たちはその地では食べていけず、ほかの土地へ移動せざるを得なかった。その仮説に基づけば、ユーラシア大陸を東進し、さらに東端の日本列島へと至った我々の祖先は、争いに勝った経験は少なく、負けて新天地を目指した人、あるいは性格が温厚で争い事を好まない人の集まりだったのではないかと思われます。その子孫である私たちは、外部との争いや交渉が苦手なのも無理はないのかもしれません。」と榊教授は述べています。そうかなと思えばそうですし、面白い研究内容だと思いますが、違うといえば違うのではないかと思うようなことです。戦国時代を考えると、一番弱い、争いを好まない祖先同士が領地獲得のため、天下統一のため争ったということになります。

戦後の日本経済の発展は、製品力のみで勝ち得てきたのでしょうか?交渉下手は認めるところが多くありますが、下手は下手なりにうまくやってきたと思います。過去の経験、うまくいったからと言って、将来も同じでよいとは思いませんが、今後も環境に合わせてそれなりにうまくやるのではないでしょうか?交渉下手がいるから、交渉上手がいることになります。皆が交渉上手で勝った、負けたの世界だけですと勝ち負けが中心となってしまうのではないかと危惧してしまいます。

尚、榊教授は、社会心理学で研究・分類されている交渉テクニックをいくつか紹介していました。

(1)フット・イン・ザ・ドア・テクニック(FITD)
小さな要請から始めて、次に大きな要請をする段階説得法。人は一度小さな要請に応じれば、次のより大きな要請に対しても応じやすくなるという心理傾向に基づく

(2)ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック(DITF)
最初の要求が応じかねるほど大きな時は人はその要請を断るが、その後に小さな要請があれば応じやすくなるという心理傾向に基づく。人は譲歩した相手に対しては、自分も譲歩する傾向がある。

(3)ザッツ・ノット・オール・テクニック
DITFの変形。DITFと異なる点は、相手の拒否の返事を待たずに要請水準を下げていく、または相手にプラスになるものを付け加えていくという点。テレビショッピングで「今日はさらにこれとこれをおつけして同じお値段」という宣伝文句がこれに該当する。

(4)ロー・ボール・テクニック
相手が取りやすいボールを投げてまず取らせてしまう、つまり決定させてしまい、後で良い条件を取り除いたり、逆に悪い条件を付加するという方法。人は一度ある決定をしてしまうと、後でその内容が変わっても――すなわち良い条件が取り除かれたり、逆に悪い条件が追加されたりしても――なかなか決定を変えようとしないという心理傾向を利用。

(5)フォー・ウォールズ・テクニック
「イエス」「イエス」と答えさせておいて、最後にも「イエス」と答えさせる方法。

(6)ブーメラン・テクニック
相手の考えと同じ考えをわざと強調してブーメラン反応(当初の意見とは逆の意見が頭に浮かんでくること)を誘い、相手を逆方向に意見変容させる技法。

もしかしたら知らず知らずのうちに同じようなことをしているかも知れませんね。いずれにしても、我々日本人は交渉術を学ばなければならないかもしれません。今後人口の現象による日本経済が縮小する傾向にあることは間違いありません。世界を相手にビジネスを考えなければならないはずです。とあるジャーナリストが言っていましたがアメリカのサブプライムローンで失敗した日本の金融機関は野村證券だけだったようです。他の金融機関は、賢かったのではなくサブプライムローンのことを知らなかっただけのようです。なんともお粗末なことではないでしょうか?
まずは国際コミュニケーションから学ぶのが良いと思います。




Posted by walt at 21:53│Comments(0)
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